高校でのタブレット導入に対して「いらない」との声が高まっています。経済的負担や教育的必要性への疑問、情報格差の懸念、公費負担の妥当性など、さまざまな視点から見直す必要があるからです。果たして、タブレットが本当に教育の質を向上させるのか?その背後にある問題とは?この記事では、これらの疑問に迫り、未来の教育におけるタブレットの役割について考察します。
- 経済的負担について
- 必要性について
- 家計への影響について
- 世間の反応は?
高校でタブレットは、いらない?
高校でタブレットが「いらない」とされる理由には、いくつかの重要な観点が存在します。以下に、それぞれの理由を詳しく掘り下げてみます。
経済的負担
タブレット端末の導入は、保護者にとって大きな経済的負担をもたらします。公立高校における入学時には、制服代や教材費など、約20万円の費用が必要とされています。さらに、この金額に加えてタブレット端末の購入費用が発生します。
具体的には、タブレット端末本体が約4万5000円程度かかるとされていますが、これに加えて故障や紛失の際の保証費用、さらには定期的な整備や更新費用などが上乗せされる場合もあります。
このため、経済的に厳しい家庭では、こうした高額な出費が難しくなり、「高校に行かせられないかも」と考える保護者が出てくることが懸念されています。特に、複数の子どもを持つ家庭にとっては、このような負担はさらに重くのしかかります。
教育的必要性への疑問
タブレット端末の教育的必要性についても、さまざまな疑問の声が上がっています。学校の特色や授業内容によっては、果たして1人1台のタブレット端末が本当に必要なのかという議論が盛んです。特に、タブレットがなければ学習が成り立たないとされる科目もあれば、逆に従来の教材や方法で十分対応できる科目も存在します。
このような中で、タブレット端末の導入について、どのように授業に活用するかの具体的な議論が後回しになっているとの指摘もあります。これにより、教育効果が不明な状況での導入には疑問を感じる声が多くなるのです。
情報格差の懸念
タブレット端末を個人負担で導入することは、情報格差を生む危険性があります。特に、家庭の経済状況によっては、購入を断念せざるを得ない家庭が出てくる可能性があります。これは、高校生の教育条件整備の水準を引き下げる要因となるため、社会全体の教育格差を拡大させる危険性があると指摘されています。
また、子どもの学ぶ権利の観点からも、タブレット端末の保護者負担には問題があるという意見が強くなっています。このような背景から、教育機会の平等を確保するためには、何らかの公的支援が必要とされる声も多いのが実情です。
公費負担の妥当性
タブレット端末を「文房具」と同等とみなし、個人負担とする考え方に対しては異論が多く存在します。学校教育法第5条によれば、学校運営に必要なものや授業で欠かせないものは、学校設置者が負担するのが原則とされています。
このため、GIGAスクール構想の一環としてタブレット端末が導入されているのであれば、保護者負担にすべきではないという意見も強く表れています。教育現場では、教育の質を向上させるために必要な資源が適切に配分されるべきであり、個人の経済的負担に頼ることは教育の公平性を損なう可能性が高いと言えるでしょう。
これらの観点から、高校でのタブレット導入に対して「いらない」との声が上がる理由が明らかになります。教育の現場では、経済的、教育的、社会的な側面を総合的に考慮しながら、適切な判断が求められています。タブレットの導入が本当に教育の質を向上させるものであるのか、またそのために必要な資源や条件が整っているのかを、冷静に見極めることが重要です。将来的には、より多くの学生が平等に質の高い教育を受けられるような環境を整えるための議論が必要となるでしょう。
タブレット端末の自己負担増加
最近、タブレット端末の自己負担が増加しており、これは特にコロナ禍以降に顕著です。多くの自治体で、公費負担から保護者負担に切り替わる動きが広がっています。
この変化は、家庭の経済状況に深刻な影響を及ぼしており、特に子育て世帯にとっては非常に厳しい現実となっています。タブレット端末は教育の必需品となりつつありますが、その導入費用が家計に重くのしかかる状況が続いています。
家計への影響
例えば、香川県では新入生に対するタブレット端末の負担が約10万円と試算されています。この金額は特に子育て世帯にとって、非常に大きな負担です。
教育のデジタル化が進む中で、これらの費用が家庭に与える影響は無視できないものであり、今後の対応が求められています。
教育のデジタル化と公平な負担
教育のデジタル化が進む中、タブレット端末の導入にかかる費用が家庭に重い負担を強いる現状があります。自治体や国は、どのようにしてこの負担を公平に分担できるかが大きな課題となっています。
特に香川県では、指定された機種の新品を購入することが原則とされており、既に持っている端末や中古品を活用することができないため、多くの保護者から不満の声が上がっています。
制服などの他の必要品と違って、タブレット端末は購入の自由度が制限されているため、経済的な負担感が増しています。
子どもの学ぶ権利
千葉工業大学の福嶋准教授は、タブレット端末を保護者に負担させることが教育条件を低下させる可能性があると警鐘を鳴らしています。彼は、「自治体はコロナ禍で公費負担にしたものを元の計画に戻すだけだと考えるかもしれませんが、保護者には相当の経済的負担が生じます」と述べています。
また、多くの自治体が「タブレット端末は文房具」として、個人で所有することを前提にしている理由で保護者負担にしている点についても問題視しています。福嶋准教授は、教育に必要な資源は学校が負担すべきだと強調し、責任ある対応を求めています。
世間の反応
- 最近の物価上昇により、全ての家庭が同じように準備できるわけではない。
- 低所得世帯は、追加の支援が必要。
- 学校が指定する端末の価格が高く、利用が難しい。
- 支援のバランスを考えることが、今後の重要なテーマとなる。
まとめ
- 高校でのタブレット導入に「いらない」という声が高まっている。
- 経済的負担が保護者に大きな影響を与えている。
- 教育的必要性についての疑問が多く存在する。
- タブレット導入が情報格差を拡大させる恐れがある。
- コロナ禍以降、自己負担が増加している自治体が多い。