ヤマトHDが業績予想下方修正、コスト上昇 4─9月期は赤字転落(ロイター)
ヤマトホールディングスが業績予想を大幅に下方修正し、2024年4月から9月期に赤字転落した背景には、個人消費の低迷や人件費の高騰、効率の悪化などが影響しています。
業績悪化に伴い、通期予想も厳しい見通しとなり、経営改善のための取り組みが急務です。自社株買いの発表もあり、株主還元強化が図られています。詳細については、こちらの記事でご確認ください。
ヤマトHD、業績予想下方修正で赤字転落
ヤマトHDは、個人消費の減速に伴い、取扱数量が予想を下回っていると報告しています。さらに、労働市場や外部コストの上昇も収益性に大きな影響を与えました。
特に、労働力不足などに伴う人件費の高騰や、委託費の増加が収益を圧迫しています。また、積載効率の低下もコスト増加を招き、業績の悪化に繋がったとされています。
2024年4-9月期の業績
2024年4月から9月の業績では、営業損益が150億円の赤字となり、前年同期の123億円の黒字から大きく転落しました。
また、純損益も111億円の赤字となり、前年同期の53億円の黒字から大幅に悪化しました。この結果、通期業績の予想修正が不可避となりました。
通期業績予想の修正内容
2025年3月期の通期業績予想は、以下のように大幅に下方修正されました。
- 営業収益:1兆7300億円(前期比1.6%減、従来予想から500億円減)
- 営業利益:100億円(前期比75.0%減、従来予想から400億円減)
- 純利益:50億円(前期比86.7%減、従来予想から270億円減)
営業利益が前期比で75%減少し、純利益は86.7%減少するという厳しい見通しが示されています。このような大幅な減益は、同社の収益構造に対して深刻な影響を与えており、経営改善に向けた取り組みが急務となっています。
自社株買いの発表
ヤマトHDは、業績下方修正と同時に自社株買いの実施も発表しました。発行済み株式の11.36%にあたる3900万株、または500億円を上限に自社株買いを行うことを決定しました。これにより、株主還元を強化し、市場での株価の安定を図る意図があると考えられます。
今後の課題
業績の悪化を受けて、ヤマトHDは経営改善に向けた取り組みを一層強化する必要に迫られています。コスト削減や業務効率化を進めるとともに、新たな収益源の開拓や事業の再編成が急務となるでしょう。
また、個人消費の回復や外部要因の改善を見据えた柔軟な戦略の再構築も求められる時期にあります。
個人消費の低迷にはどんな要因がある?
所得環境の停滞
日本の消費者の財布の紐が固くなっている一因は、所得環境の停滞です。可処分所得の伸び悩みや、賃金上昇が物価上昇に追いついていない状況が続いています。
特に物価が上昇する中で賃金がそのペースについていけていないため、実質的な購買力が低下し、消費が抑制されています。また、非正規雇用の拡大によって所得格差が広がり、多くの家庭が安定した収入を得ることができなくなっており、消費に対する不安感が強まっています。
将来不安
消費者が将来に対して感じる不安も、消費を抑制する大きな要因です。社会保障制度の持続性に対する懸念や、特に若年層を中心に老後の生活に対する不安が広がっています。
年金や医療保険などの社会保障が将来的にどこまで安定して提供されるかに疑問を持つ人々が多く、これが消費の先送りや抑制を引き起こしています。また、雇用の不安定さも影響しており、非正規雇用が増加している現状では、将来の収入に対する不透明感が高まり、消費意欲が低下しています。
物価上昇の影響
生活必需品の価格上昇は、家計に直接的な負担を与えています。特に円安の影響で輸入品の価格が上昇し、消費者は日々の生活で感じる負担が増加しています。
このような物価上昇が続くと、選択的支出—つまり趣味や娯楽、外食などの支出—が抑制され、消費全体が低迷します。特に勤労者世帯は物価高の影響を受けやすく、消費の伸びが鈍化しています。
構造的要因
日本の経済における構造的な変化も、個人消費に影響を与えています。最も顕著なのは人口減少と高齢化です。労働力人口が減少する一方で、高齢者人口は増加しており、高齢者向けの支出は増加していますが、全体的な消費量は縮小傾向にあります。
このような消費行動の変化が、伝統的な消費パターンに影響を与えています。さらに、耐久財(例えば、スマートフォンなど)の長寿命化も消費の抑制に寄与しており、これまで頻繁に買い替えられていた商品が長期間使用される傾向にあります。
一時的要因
一時的な要因も個人消費の低迷に寄与しています。コロナ禍からの回復が遅れており、特に観光業や外食産業などでは回復が思うように進んでいない状況です。
加えて、一部の産業—例えば自動車業界における認証不正問題など—も消費者の信頼を損ない、消費を抑制する要因となっています。
世帯タイプによる差異
世帯タイプによる消費の違いも顕著です。引退世帯(高齢者世帯)は年金や金融資産からの収入が主な生活資金源となるため、比較的安定した消費を行っています。
一方で、勤労者世帯は物価高や所得の伸び悩みが直接的な影響を与え、消費を抑制せざるを得ません。特に、若年層や子育て世帯などは、生活費や教育費の負担が大きく、消費を削る傾向にあります。
ネットの声
- 再配達の無駄: 不在が多く、再配達が繰り返されている。
- 高層階配達: 高層階の配達には追加料金を設定すべきとの意見。案。
- ヤマトが赤字であることに対する驚きの声。
- 荷主が集荷拠点に取りに行く形にするべきとの提案。
- 他社に比べてヤマトの運賃が高いが、全体的に運送業の対価はまだ安いとの見解。
- 競合他社の価格競争に負けている、ヤマトの運賃が高すぎるという批判。
- Amazonや外資による介入があれば、運賃がさらに高騰するという懸念。
まとめ
- ヤマトHDは業績予想を大幅に下方修正、2024年4-9月期は赤字転落。
- 個人消費の低迷、上昇する人件費や委託費、積載効率の低下が原因。
- 2025年3月期の営業収益は1兆7300億円、営業利益は100億円と大幅減少。
- 同時に自社株買いを発表、株主還元を強化する意図。
- 消費低迷の要因は所得環境の停滞、将来不安、物価上昇など。
- 高齢化や人口減少、物理店舗からオンラインへの消費行動変化も影響。
- 再配達の無駄や高層階配達に追加料金設定の提案も上がっている。